FX取引を行う際、「通貨ペア」は必ず決めなければいけません。
当然ながら、通貨ペアを選ばなければ取引自体ができませんし、何よりそれぞれ流動性が異なるので、適当に選ぶと大きなリスクが伴うからです。
しかし、通貨ペアはたくさんあるので、FXを始めたばかりの初心者の方は、どの通貨ペアが良いのかと悩む傾向にあります。
私もFXを始めた当初は通貨ペアの多さから、どれで取引すれば良いのかと悩みました。
そこで今回、FX初心者の方に向けて通貨ペアの特徴と選び方を解説します。
FXの通貨ペアとは?
まず、通貨ペアについて簡単に説明すると、FXにおいて取引される「2国間の通貨の組み合わせ」のことです。
例えば、上記画像のように、「米ドル/円」「ユーロ/米ドル」「英ポンド/豪ドル」などの組み合わせが通貨ペアです。
このように、2国間の通貨を組み合わせた通貨ペアを選び、利益を得るために外貨取引を行います。
基軸通貨と決済通貨
FX取引を行う際、USD/JPY(米ドル/円)やEUR/USD(ユーロ/米ドル)などの、通貨ペアを選ぶことから始めます。
このとき、通貨ペアは「/」で区切られているのですが、これは左側が「基軸通貨」、右側を「決済通貨」と呼びます。
具体的には、左側の通貨(基軸通貨)を取引するために、右側の通貨(決済通貨)で売り買いする仕組みです。
例えば、「米ドル/円」の通貨ペアを取引するのであれば、「米ドルを買って円を売る」、もしくは「米ドルを売って円を買う」の取引ができる仕組みとなります。
つまり、「米ドル/円」のレートが100円の時の取引において、1米ドルを買うと100円を支払い、1米ドルを売ると100円を得る考え方となります。
メジャー通貨とマイナー通貨
メジャー通貨 | マイナー通貨 |
---|---|
米ドル(USD) | トルコリラ(TRY) |
日本円(JPY) | メキシコペソ(MXN) |
ユーロ(EUR) | 南アフリカランド(ZAR) |
英ポンド(GBP) | ブラジルレアル(BRL) |
豪ドル(AUD) | 中国人民元(CNY) |
カナダドル(CAD) | インドルピー(INR) |
スイスフラン(CHF) | スウェーデン(SEK) |
FXで取引を行うとき、様々な国の通貨から選ぶことができます。
このとき、国の通貨によって流通量と信用度にも大きな差があるのです。
例えば、世界的に流通量が多く信用度の高い通貨を「メジャー通貨」、反対に流通量が少なく信用度もそれほど高くはない通貨を「マイナー通貨」と、FXでは呼ばれています。
具体的な違いとして、メジャー通貨は流通量と信用度が高いため、取引コストとなる売値と買値の差(スプレッド)を狭く設定しているFX業者が多く、有利に取引することができます。
一方で、マイナー通貨は流通量と信用度がそれほど高くはないので、取引量と流動性が低く、スプレッドの差が基本的に広いです。
つまり、国が発行する通貨としての価値と流通量、そして価格が不安定なほどマイナー通貨に該当します。
そのため、FX初心者の方が通貨ペアを選ぶときは、基本的にメジャー通貨から選ぶことがポイントです。
メジャー通貨であれば、取引コストを抑えることができますし、急激な値動きの変動に巻き込まれるリスクも一緒に抑えることができます。
ドルストレートとクロス通貨
ドルストレート | クロス通貨 |
---|---|
EUR/USD(ユーロ/米ドル) | EUR/JPY(ユーロ/日本円) |
USD/JPY(米ドル/日本円) | GBP/JPY(英ポンド/日本円) |
GBP/USD(英ポンド/米ドル) | EUR/GBP(ユーロ/英ポンド) |
AUD/USD(豪ドル/米ドル) | AUD/JPY(豪ドル/日本円) |
USD/CHF(米ドル/スイスフラン) | EUR/CHF(ユーロ/スイスフラン) |
USD/CAD(米ドル/カナダドル) | CAD/JPY(カナダドル/日本円) |
ドルストレートとは、FXにおいて、米ドルが通貨ペアの一方に含まれている通貨ペアのことを指します。
つまり、米ドルと他の主要通貨との直接の取引を意味します。
ドルストレートの特徴は、為替レートが米ドルを基準にして動くため、世界の経済状況や米国の経済指標、政策が大きな影響を与えることです。
一方、クロス通貨とは、米ドルを含まない通貨ペアのことを指します。
つまり、米ドルを介さずに2つの異なる通貨の直接取引が行われる場合のことです。
FX市場では、米ドルが基軸通貨としてよく使われますが、クロス通貨ペアは米ドルを経由せずに取引されるため、米ドルの影響を受けにくい特徴があります。
FX初心者におすすめの通貨ペアの選び方
ここまでの内容を参考に、FX初心者の方が取引する通貨ペアはどのように選ぶべきなのでしょうか。
この疑問について、FX初心者の方におすすめの通貨ペアの選び方を以下で紹介していきます。
取引量の多い通貨ペアから選ぶ
通貨ペア | シェア(%) |
---|---|
USD/EUR(米ドル/ユーロ) | 22.7 |
USD/JPY(米ドル/円) | 13.5 |
USD/GBP(米ドル/英ポンド) | 9.5 |
USD/CNY(米ドル/中国人民元) | 6.6 |
USD/CAD(米ドル/カナダドル) | 5.5 |
USD/AUD(米ドル/豪ドル) | 5.1 |
USD/CHF(米ドル/スイスフラン) | 3.9 |
上記表は、国際決済銀行(BIS)が3年毎に調査している、為替取引量に関するデータの一部を参考に、私がまとめたものです。
2022年に発表されたデータによると、FX市場における世界で取引量の最も多い通貨ペアは米ドル/ユーロで、2位に米ドル/円、3位が米ドル/英ポンドでした。
このデータを参考に、FX初心者の方が実際に取引する通貨ペアとしておすすめなのが、「取引量の多い通貨ペア」を選ぶことです。
具体的には、先ほど紹介したシェアの多い通貨ペアから選ぶと、安定した取引をしやすい傾向にあります。
なぜなら、取引量の多い通貨ペアはそれだけ世界のFXトレーダーから注目されているので、値動きが安定傾向にあるからです。
世界中のトレーダーから注目されているので情報量が多く、すぐに情報が伝わりやすいことも関係し、値動きが安定傾向にあるのです。
一方で、取引量の少ない通貨ペアだと突発的な出来事が起きた際、情報量が少ないので値動きが急激に変動するリスクが高く、対応が遅れると大きな損失となりかねません。
そのため、FX初心者の方は取引量の多い通貨ペアから選ぶと、値動きが急激に変動するリスクも低いので、手を付けやすいといえます。
ドルストレートの通貨ペアから選ぶとリスクを抑えやすい
取引量の多い通貨ペアから選ぶとき、更に選択肢を絞るのであれば、「ドルストレート」から選ぶのも良いでしょう。
ドルストレートとは、米ドルと別の通貨を組み合わせた取引を行うことを指します。
具体的には、USD/JPY(米ドル/円)、EUR/USD(ユーロ/米ドル)、GBP/USD(英ポンド/米ドル)などです。
FXにおいて、ドルストレートは取引量が多く、また値動きも安定傾向にあります。
そのため、FX初心者の方は比較的安定した取引をすることができるので、リスクを抑えて利益を狙うことができます。
初めて取引をするなら米ドル/円の通貨ペアが対応しやすい
取引量が多く、ドルストレートの通貨ペアから取引を行うと、FX初心者の方でも比較的安定した値動きのもと、利益を狙いやすい傾向にあります。
このとき、ドルストレートにも様々な国の通貨があるのですが、迷うのであれば「USD/JPY(米ドル/円)」の通貨ペアが、FX初心者の方にはチャレンジしやすいです。
世界で最も取引されている通貨ペアはEUR/USD(ユーロ/米ドル)なのですが、日本円が含まれている米ドル/円の方が、日本人にとっては馴染みがあると言えます。
何より、米ドル/円も世界の取引量では2位なので、決して取引しにくいわけではありません。
アメリカと日本の情報は手に入りやすく、取引量も多いので、FX初心者の方でも安定した値動きの中で利益を狙うことができると思います。
なお、米ドル/円は流動性が高くてスプレッドの差を狭くしているFX業者が多く、情報も手に入りやすいことから、FX初心者の方が最初に取引する通貨ペアとして、おすすめしている専門書は多いです。
FX初心者におすすめの通貨ペアまとめ
今回は、FX初心者の方に向けて通貨ペアの特徴と選び方を解説しました。
実際にFX初心者の方が取引をするときは、メジャー通貨のドルストレートから選ぶとリスクを抑えて利益を狙いやすいです。
このとき、ドルストレートであるUSD/JPY(米ドル/円)の通貨ペアを選ぶと、流動性が高く値動きも安定しているので、比較的取引はしやすいです。
ただし、リーマン・ショックやコロナ・ショックのように、世界経済に深刻な影響を及ぼす事件が起きると、値動きが激しくなることもあります。
しかし、こうした事件が起こるとどの通貨ペアを選んだとしても、FXで取引する以上はリスクが伴います。
こればかりは事前に察知することができないので、もはや仕方のない問題です。
総合的なまとめとして、世界的に取引量が多く、またスプレッドの差が狭くて情報が手に入りやすい米ドル/円の通貨ペアであれば、平常時は深刻な含み損を被るリスクが少ないので、FX初心者の方でも取引はしやすいといえます。
もちろん、米ドル/円以外のメジャー通貨であるドルストレートから選んでも良いので、本記事を参考によく検討して取引してみてください。